米国公認会計士(USCPA)のライセンス取得手続き実施記録

米国公認会計士(USCPA)のライセンスを取得た。

最終試験の合格発表から1.5ヶ月かかった。

ライセンス取得までの道のり:概要

ライセンス取得に向け実施した手続きと作業時間は以下:

  1. ライセンス質問票の作成:3.5時間
  2. 英文職務経歴書の作成:1.5時間
  3. 無料コンサルテーションの申請:15分
  4. 実務経験証明書の作成:15分
  5. 勤務先証明書の用意:30分
  6. ライセンス取得サポートの申請:15分
  7. 学歴の評価/送付の依頼:45分
  8. 試験実績送付の依頼:30分
  9. 倫理試験の合格:4時間
  10. CPA面談の実施:1時間
  11. ライセンス申請の実施:30分
  12. その他細かい作業の実施:2時間

合計:15時間
(※時間は測定しておらず、大凡の記憶で書いている)
(※前提:アビタスのライセンス取得サポートを活用、ワシントン州のライセンスを取得)

尚、上記作業の間に発生した待機期間は以下であった:

  1. 無料コンサルテーションの結果を待つ:1営業日
  2. CPA面談の実施日を待つ:3営業日
  3. 学歴の評価/転送を待つ:1.25ヶ月
  4. 署名済み実務経験証明書を待つ:1.1ヶ月
  5. ライセンス発行を待つ:0.5営業日

合計:1.5ヶ月
(※単純合計となっていないのは、上記3.と4.を並行させたため)

また、ツールとして以下を使った:

  • GPT-4ライセンス質問票の適格性記入で英文を整えるのに使用
  • Canva英文職務経歴書の作成に使用

以下、各種手続き、待機期間、ツールに関して書いていく。
(※アビタスのライセンス取得サポートに関する手続きが多く、これを活用されない方は該当箇所を読み飛ばしてOK)

無料コンサルテーションの申請

無料コンサルテーションは、私が利用したUSCPA予備校であるアビタスのライセンス取得サポートに必要となるもの。

ワシントン州のUSCPAライセンス取得にあたっては、会計関連の実務経験(1年以上)を証明するため、実務経験証明書を現地の会計士委員会に送付する必要がある。

この証明書類には、一定の要件を満たしたUSCPAホルダーの署名が必要となるのだが、署名を依頼できる人が身近にいない人は、アビタスに支援を依頼することができる。

具体的には、以下のプロセスを辿る。

  1. 必要書類(ライセンス質問票、英文職務経歴書など)を送ると、アビタスがライセンス取得の可否を審査(無料コンサルテーション)
  2. 審査結果が良好な場合、ライセンス取得サポートを申請し必要書類(実務経験証明書と勤務先証明書)を送付、アビタスのCPA講師とオンライン面談(CPA面談)を実施
  3. アビタスがメールで署名済み実務経験証明書を送付

ライセンス質問票の作成

ライセンス質問票は、前述したアビタスの無料コンサルテーション申請時に必要となる。

過去8年間の会計に関する実務経験の月数、総時間数、内訳等の他、適格性を記載する。

この適格性がくせ者で、以下のようなフワっとした文章で記述されている。

As a result of my experience I am aware of the need to listen unemotionally but objectively when evaluating verbal or written input from others.

As a result of my experience I became aware that some people make decisions without any basis for the decision. My work and life experiences have taught me how to be reasonably certain I knew what I was talking about by having some objective data or other knowledge base to support my position on a matter.

上記の文章に適合するような実務経験を有することをアピールしなければならないのだが、これが11項目もある上、どこまで具体的に書くか悩ましいところである。

本書類はアビタスのライセンス取得サポートで必要となるに過ぎず、ワシントン州会計士委員会に提出する必要はない

一方で、アビタスは実務経験証明書への署名を外部のCPAホルダーに依頼しており、雑に書くと問題が発生する可能性もある。

結局リスク回避のため割と具体的に書いた結果、全体で3.5時間かかった。

尚、英文を整える際にGPT-4を使い、表現を洗練させた。

英文職務経歴書の作成

英文職務経歴書は、ワシントン州会計士委員会へのライセンス申請時に必要となる他、アビタスの無料コンサルテーション申請時にも必要となる。

私はCanvaの無料版を使い、英文職務経歴書テンプレートに記入する形で作成した。

上記のような経歴書テンプレートをブラウザ上で編集してダウンロード可能

良い感じのテンプレートデザインを探したり、記入事項に合わせてデザインを調整したりしていたら、全体で1.5時間かかった。

ただ、Wordでゼロから作るよりは、質・効率ともに良かったと思われる。

実務経験証明書の作成

実務経験証明書は、ワシントン州会計士委員会へのライセンス申請時に必要となる他、前述したアビタスのライセンス取得サポート申請時にも必要となる。

PDFの入力フォームに住所氏名等を入力の上、印刷し手書きで署名するだけであるため、作業自体は15分ほどで終わった。

一方、これをアビタスに送付し、CPAホルダーの署名が入った状態で返ってくるのに1.1ヶ月かかったので、待機時間を含めると、ライセンス取得のボトルネック工程となっている。
(※監査法人に勤めている等、署名者を自分で見つけられる人は、1時間ほどで完了可能)

勤務先証明書の用意

勤務先証明書は、アビタスのライセンス取得サポート申請時に必要となる。

具体的には、以下のどちらかを用意してアビタスに送付する:

  • 収源泉徴収票か確定申告書(コピーと英訳の双方)
  • 勤務先が発行した英文在籍証明書

私は在籍証明書を送付した。

ライセンス取得サポートの申請

アビタスのライセンス取得サポートは、実務経験証明書および勤務先証明書を送付の上、対価を前払いすると完了する。

その後、CPA面談の日程調整をすると、面談まで待機期間となる。面談は月に2回実施されているようで、私は幸運にも3営業日後に面談となった。

ちなみに、無料コンサルテーションを含めアビタスとのやり取りは、基本的に受験生サイトの問い合わせページで実施したが、2営業日以上待たされることはなく、スムーズであった。

学歴の評価/送付の依頼

学歴の評価/送付は、試験出願がワシントン州以外であった場合等に、会計士委員会へのライセンス申請時までに完了している必要がある。(※依頼のみならず送付が完了している必要がある)

私は出願州がニューヨークであったため、日本の大学/大学院に関する学歴の評価とワシントン州会計士委員会への送付をNIESに依頼した。

またライセンス取得には、アビタス経由で取得したカルフォルニア州立大学の単位も必要だったため、parchment経由で単位証明書の送付を依頼した。

いずれもCPA面談までの待機期間中に依頼作業を完了したが、NIESの学歴評価/送付は1.25ヶ月かかり、署名済み実務経験証明書の入手と並び、ライセンス取得のボトルネック工程となっている。

試験実績送付の依頼

試験実績の送付は、試験出願がワシントン州以外であった場合に、ワシントン州会計士委員会へのライセンス申請時までに完了している必要がある。(※依頼のみならず送付が完了している必要がある)

私はニューヨーク州の試験に合格したため、NASBAに試験実績をワシントン州会計士委員会へ送付する旨を依頼した。

NASBAのオンラインストア上にて、15分~30分程度で実施可能とおり、CPA面談までの待機期間中に依頼を完了した。

倫理試験の合格

倫理試験の合格は、ワシントン州会計士委員会へのライセンス申請時に必要となる。

試験の詳細は以下の記事に書いたので、そちらをご参照頂きたい:

試験合格後、合格証明書が発行されるので、そちらをダウンロードした上で、ライセンス申請時に使用することになる。

CPA面談の実施

CPA面談は、アビタスのライセンス取得サポートにおいて、署名済み実務経験証明書を送付してもらう上で必要となるプロせスである。

面談の内容だが、ライセンス取得サポート申込者がzoom上で集まり、それぞれがアビタスの講師(CPAホルダー)へ会計に関する実務経歴を1分程度で説明するグループ面談となっている。

説明は1人1分だが、私が参加した回では25名程度が参加しており、発言者変更の待機時間や事前説明等のため、1時間程度かかったと記憶している。

尚、このプロセスに何の意味があるのか、そもそも必要なのか、といった疑問が湧くかと思われるが、実務経験証明書への署名を外部CPAホルダーに依頼する上で必要というような説明が講師からあったので(うろ覚えだが)、ワシントン州会計士委員会の規約等で何かあるのかもしれない。

twitter等では、目的の不明瞭さプライバシーへの懸念から不満の声が見受けられるが、個人的には、1時間程度で終わり、また自身の情報開示にあまり抵抗がないため、特に嫌悪感はなかった

学歴評価と実務経験証明書の待機期間

CPA面談から1.1ヶ月後、ボトルネック工程となっていた学歴評価と署名済み実務経験証明書の取得がほぼ同時に完了した。

以上をもって、ようやくライセンス申請が可能となった。

ライセンス申請の実施

ワシントン州オンラインシステムにアクセスし、①各種情報の入力、②書類(署名済み実務経験証明書/英文職務経歴書/倫理試験の合格証明書)のアップロード、③申請料金の支払い、を完了したところ、10時間後にライセンスが発行された旨のメール通知を受領した。

アビタスの情報では申請後1~2週間かかるとのことだったため、想定より非常に早かった

以上をもって、最終試験の合格発表から1.5ヶ月後、はれて米国公認会計士になった

所感

思ったより細かい作業が多く、相互依存も多いので、早めに全体像を把握し、事務作業は要所で時間を取って一気に終わらせるのをおすすめする。

  • この記事を書いた人

Y. Middleton

3児の父/海外在住/会社経営/個人投資家/米国公認会計士(USCPA)/公認システム監査人(CISA)/公認内部監査人(CIA)